事前知識として、Ryzen 7000シリーズのアーキテクチャは「Zen4」となり、「Zen3」環境下で推奨されているDDR4メモリの使用は不可になりました。よって、「Zen4」からはDDR5メモリのみの対応となっております。
上記点からRyzen 7000シリーズを使用するには、DDR5メモリへの移行が必須です。
そこでAMDは、以前までインテルのオーバークロック技術「XMP(エクストリームメモリプロファイル)」に頼っていたメモリオーバークロック技術を、異なる独自のオーバークロック技術「AMD EXPO」として開発し、よりAMDのCPU(Zen4)に最適化された環境を作り上げました。
そこで生まれる疑問が、「今まで使用していたXMPメモリは使えるのか?」というところだと思いますが、AMD EXPO対応のマザーボードはXMPも対応している製品が多いので、XMP3.0以上対応のDDR5メモリであれば、XMPを利用してオーバークロックすることが可能です。
では逆に、「AMD EXPO対応のDDR5メモリをインテル用マザーボード挿すとどうなるか」というと、AMD EXPO用のプロファイルが取得できないだけで、定格周波数での動作は行えるようです。
定格周波数での動作であれば、オーバークロックメモリに拘る必要がないのですが動作しない。ということにはならないようです。
既にXMP3.0のDDR5メモリを所持しており、Ryzen 7000シリーズ(Zen4)を使いたい!という方。
そのままXMP3.0のDDR5メモリを使用して動作させることが可能なのはわかったと思いますが、大事なのはRyzen 7000シリーズ(Zen4)の性能を最大限に引き出すなら、AMD EXPO対応のDDR5メモリの使用が断然おすすめ!ってことです。
そこで本稿では、AMD EXPOに対応している「Ryzen 7000シリーズ(Zen4)に最適なDDR5メモリ」を紹介しますので、ご購入の参考にしてみてください。
Ryzen 7000シリーズ
Ryzen 7000シリーズは、Ryzen 5000シリーズの後継となる新たなデスクトップ向けのCPU。
アーキテクチャは「Zen3」から「Zen4」へ進化し、ソケットも「Socket AM4」から「Socket AM5」へ刷新された、AMDの新世代CPUです。
DDR4メモリは非対応!DDR5メモリのみ対応なので注意が必要です。
新たなアーキテクチャ + DDR5メモリ、ということで7000シリーズを導入する場合には、新たにマザーボードを購入する必要がある方が大半だと思います。
少々導入までのコストが掛かるというのが難点ですが、Ryzen 7000シリーズのZen4は、従来のZen 3と比較してIPCで最大13%、シングルコア性能で最大29%の性能向上。マルチコア性能では最大45%の性能向上をうたっており、強力な処理能力を持ったCPUに進化していますので、導入の価値はあるでしょう。
現状出ているRyzen 7000シリーズのラインナップを以下で紹介します。
Ryzen 7000シリーズ ラインナップ
CPU名称 | コア数 | スレッド数 | TDP | 基本クロック | 最大ブースト・クロック | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|
AMD Ryzen 9 7950X3D | 16 | 32 | 120W | 4.2GHz | 5.7GHz | ¥111,800 |
AMD Ryzen9 7900X3D | 12 | 24 | 120W | 4.4GHz | 5.6GHz | ¥95,800 |
AMD Ryzen 9 7900 | 12 | 24 | 65W | 3.7GHz | 5.4GHz | ¥68,404 |
AMD Ryzen 7 7700 | 8 | 12 | 65W | 3.8GHz | 5.3GHz | ¥52,723 |
AMD Ryzen 5 7600 | 6 | 12 | 65W | 3.8GHz | 5.1GHz | ¥37,500 |
AMD Ryzen 9 7950X | 16 | 32 | 170W | 4.5GHz | 5.7GHz | ¥89,980 |
AMD Ryzen 9 7900X | 12 | 24 | 170W | 4.7GHz | 5.6GHz | ¥62,612 |
AMD Ryzen 7 7700X | 8 | 16 | 105W | 4.5GHz | 5.4GHz | ¥46,978 |
AMD Ryzen 5 7600X | 6 | 12 | 105W | 4.7GHz | 5.3GHz | ¥33,680 |
AMD EXPOとは
ここでもう一度「AMD EXPO」についておさらいしましょう。
AMD EXPOは、Ryzen 7000シリーズから新たに導入されたメモリオーバークロック技術です。(AMD EXPO対応DDR5メモリに保存されたプロファイルを読み込むことで、動作クロックやメモリタイミング、動作電圧などの設定を自動で適用できる技術)
難しい手順は一切なく、マザーボードのUEFIで記憶されているプロファイルを選択するだけで手軽にオーバークロックを行うことができます。これはインテルのXMPと同じで慣れ親しんだ操作だと思います。
ではなぜ、従来使用していたXMPではなくAMD EXPOをAMDが開発したのでしょうか?
それは、Intel XMPは名前の通り「Intel(インテル)」が中心となって開発した技術。
それ故に、AMD側(AMD CPU)ではアクセスできない(制御できない)領域も多く、XMPでパフォーマンスをフルに引き出せてたか?と問われると、そうとは言い難い部分があります。
そこで、AMDは独自のオーバークロック技術を開発することで、AMDプラットフォームに最適なプロファイル設定を可能とし、AMD EXPO対応のメモリ製品を選択することでRyzen CPUのパフォーマンスを最大限に引き出すことを可能にしました。
これから進化をしていくであろう、AMDのRyzen CPUとは切っても切れない存在になるAMD EXPO機能。
現状、AMD EXPO対応しているDDR5メモリの種類は少ないですが、紹介させていただきます。
AMD EXPO対応 DDR5メモリ
AMD EXPO対応のメモリは「G.Skill」、「キングストン」、「CORSAIR」と、メモリ販売・PCパーツ販売の老舗から続々と発売されています。
何度もしつこく言いますが、Ryzen 7000シリーズの性能を最大限に発揮するためにはAMD EXPOが推奨されています。ぜひ、購入の参考にしてみてください。
G.Skill F5-6000J3238F16GX2-TZ5NR
メモリ容量(1枚あたり) | 16GB | 枚数 | 2枚 |
メモリインターフェイス | DIMM | メモリ規格 | DDR5 SDRAM |
データ転送速度 | SPD Speed:4800MT/s Tested Speed:6000MT/s |
モジュール規格 | PC5-38400(DDR5-4800) PC5-48000(DDR5-6000) |
電圧 | SPD Voltage:1.1V Tested Voltage:1.35V |
メモリタイミング | Tested Latency:32-38-38-96 |
メモリ機能 | ECC非対応 Reg非対応 |
AMD EXPO | 〇 |
ヒートシンク機能 | |||
1GBあたりの価格 | \688 |
Ryzen 7000シリーズのスイートスポットの6000MHzをカバーできるメモリ
CASレイテンシ値はEXPO実行時にCL32
G.Skill F5-5600J3636C16GX2-FX5
メモリ容量(1枚あたり) | 16GB | 枚数 | 2枚 |
メモリインターフェイス | DIMM | メモリ規格 | DDR5 SDRAM |
データ転送速度 | SPD Speed:4800MT/s Tested Speed:5600MT/s |
モジュール規格 | PC5-38400(DDR5-4800) PC5-44800(DDR5-5600) |
電圧 | SPD Voltage:1.1V Tested Voltage:1.2V |
メモリタイミング | Tested Latency:36-36-36-89 |
メモリ機能 | ECC非対応 Reg非対応 |
AMD EXPO | 〇 |
ヒートシンク機能 | |||
1GBあたりの価格 | \527 |
上のF5-6000J3238F16GX2-TZ5NRと比べると若干性能の劣るメモリですが、その分、価格は安くなっており、DDR4を購入するのと大差ない値段で購入できるDDR5メモリです。
光る機能は無いので、シンプルなメモリをお買い求めの方にオススメできます。
キングストン KF560C36BBEK2-32
メモリ容量(1枚あたり) | 16GB | 枚数 | 2枚 |
メモリインターフェイス | DIMM | メモリ規格 | DDR5 SDRAM |
データ転送速度 | SPD Speed:4800MT/s Tested Speed:6000MT/s |
モジュール規格 | PC5-38400(DDR5-4800) PC5-48000(DDR5-6000) |
電圧 | SPD Voltage:1.1V Tested Voltage:1.35V |
メモリタイミング | SPD Latency:40-39-39 Tested Latency:36-38-38 |
メモリ機能 | ECC非対応 Reg非対応 |
AMD EXPO | 〇 |
ヒートシンク機能 | |||
1GBあたりの価格 | \751 |
CASレイテンシ値はEXPO実行時にCL36
CORSAIR CMH32GX5M2B5600Z36K
メモリ容量(1枚あたり) | 16GB | 枚数 | 2枚 |
メモリインターフェイス | DIMM | メモリ規格 | DDR5 SDRAM |
データ転送速度 | SPD Speed:4800MT/s Tested Speed:5600MT/s |
モジュール規格 | PC5-38400(DDR5-4800) PC5-44800(DDR5-5600) |
電圧 | SPD Voltage:1.1V Tested Voltage:1.25V |
メモリタイミング | SPD Latency:40-40-40-77 Tested Latency:36-36-36-76 |
メモリ機能 | ECC非対応 Reg非対応 |
AMD EXPO | 〇 |
ヒートシンク機能 | 〇 | ||
1GBあたりの価格 |
スイートスポットの6000MHzには届かないが、5600MHzのEXPO対応「CORSAIR」のメモリ
CASレイテンシ値はEXPO実行時にCL36
CORSAIR CMT32GX5M2B5200Z40
メモリ容量(1枚あたり) | 16GB | 枚数 | 2枚 |
メモリインターフェイス | DIMM | メモリ規格 | DDR5 SDRAM |
データ転送速度 | SPD Speed:4800MT/s Tested Speed:5200MT/s |
モジュール規格 | PC5-38400(DDR5-4800) PC5-41600(DDR5-5200) |
電圧 | SPD Voltage:1.1V Tested Voltage:1.25V |
メモリタイミング | SPD Latency:40-40-40-77 Tested Latency:40-40-40-77 |
メモリ機能 | ECC非対応 Reg非対応 |
AMD EXPO | 〇 |
ヒートシンク機能 | 〇 | ||
1GBあたりの価格 | \928 |
スイートスポットの6000MHzには届かないが、5200MHzのEXPO対応「CORSAIR」のメモリ
CASレイテンシ値はEXPO実行時にCL40
メーカー別 EXPO設定例
コメント
2023末頃に久しぶりにPCを自分で組み立てました。
AMD3900x rtx2080から一気に
7900x3d rtx3080とDDR5の世界に飛び込みましたが、
ストレスが感じられない感動に浸っておりますw
しかし、4kなどのゲームプレイや動画監視をしていると
とりあえず買った32gb 6000mhzのメモリじゃあっという間に頭打ちになってしまいます。
という事でメモリ容量を増やそと思っていろいろ見ていたらコチラのサイトに到着いたしました。
とても見やすいページでなんとなくメモリの復習が出来ました!
しかし、容量の多い物は出てきた様ですがクロック数の多い物は出ていない様で
買い時はもう少し待った方がいいのかと思いました。
長文失礼いたしました。