レイテンシ
レイテンシはデータ転送における指標で、データ伝送を要求してから、実際にデータが届き始めるまでの待ち時間のことです。
一般的にレイテンシが小さければ小さいほど、そのデバイスは高性能で高価であると言われており、レイテンシの程度を「高」「低」で表現し、応答が遅いことを高レイテンシ、応答が早いことを低レイテンシと表します。
高・低という言葉から、高レイテンシの方が良さそうに思えてしまいますが、低レイテンシの方が性能が良いので注意しましょう。
では、どのように高・低を判断するかというと、まず、レイテンシ値を求める必要があります。レイテンシ値を求めるには更に「CASレイテンシ値」という値が必要になってきますので、次にCASレイテンシについて説明します。
CASレイテンシ
CASレイテンシ(CAS latency)はメモリタイミングのことです。
メモリタイミングは、メモリコントローラの要求に対してメモリが応答するまでの速度を示すスペックで、この値が低い程、高性能といえる、メモリを評価する指標になる値です。
パッと来ない方もいるかもしれませんが、メモリスペックなどに必ず記載されている「CL〇〇」という部分のことです。
察しの良い方はお気づきかもしれませんが、CL値が低い=低レイテンシということです。(以下の計算に出てくるクロック信号の周波数の差もあるので、一概には言えませんが)
さて、レイテンシを求めるにはCASレイテンシが必要で、CASレイテンシとは大体何なのか。というのが分かったと思うので、ここからは、レイテンシを求める方法を紹介していきます。
レイテンシを求める方法
CASレイテンシ(CAS latency)から実際の待ち時間(レイテンシ)を求める式は、
レイテンシ=(メモリタイミング(CL) ÷ クロック信号の周波数)× 1000 の式で求めることができます。レイテンシは、一般的にナノ秒単位での計算が良いとされています。
式中の「クロック信号の周波数」ですが、これはメモリクロックの2分の1倍速と覚えておけば大丈夫です。
例:DDR5-4800MHzのメモリクロックで動作するメモリのクロック信号は、2400MHz。
それを踏まえて、クールシャルのCT2K32G48C40U5を例に計算すると、
(CL40 ÷ 2,400MHz(DDR5-4800MHz)) × 1000 = 16.66666666666667なので、レイテンシは約16.66nsという結果になります。
このレイテンシが低い値ほど高性能と言われているので、メモリ購入時の参考にしてください。
レイテンシ値の低いDDR5メモリ
DDR5メモリの価格もだいぶ落ち着いてきた昨今、遠くないDDR5メモリへの完全移行の未来に向けて、レイテンシの低い高性能メモリを複数紹介しますので、使用用途、予算に合わせてベストな選択をしましょう。
計算は全て、オーバークロック時の値で行います。
G.Skill F5-5600J2834F16GX2-TZ5RS
DDR5ながらCL28を実現したメモリ。
メモリタイミング:CL28、クロック周波数:2800MHz = 約10ns(レイテンシ)
メモリ容量(1枚あたり) | 16GB | 枚数 | 2枚 |
メモリインターフェイス | DIMM | メモリ規格 | DDR5 SDRAM |
データ転送速度 | SPD Speed:4800MT/s Tested Speed:5600MT/s |
モジュール規格 | PC5-38400(DDR5-4800) PC5-44800(DDR5-5600) |
電圧 | SPD Voltage:1.1V Tested Voltage:1.35V |
メモリタイミング | Tested Latency:28-34-34-89 |
メモリ機能 | ECC非対応 Reg非対応 |
XMP 2.0 | |
ヒートシンク機能 | ○ | Mac対応 | |
1GBあたりの価格 | \671 |
G.Skill F5-6000J3238G32GX2-TZ5NR
AMD EXPOに対応したDDR5メモリ。
メモリタイミング:CL32、クロック周波数:3000MHz = 約10.66ns(レイテンシ)
メモリ容量(1枚あたり) | 32GB | 枚数 | 2枚 |
メモリインターフェイス | DIMM | メモリ規格 | DDR5 SDRAM |
データ転送速度 | SPD Speed:4800MT/s Tested Speed:6000MT/s |
モジュール規格 | PC5-38400(DDR5-4800) PC5-48000(DDR5-6000) |
電圧 | SPD Voltage:1.1V Tested Voltage:1.4V |
メモリタイミング | Tested Latency:32-38-38-96 |
メモリ機能 | ECC非対応 Reg非対応 |
XMP 2.0 | |
ヒートシンク機能 | Mac対応 | ||
1GBあたりの価格 | \638 |
G.Skill F5-6000J3636F16GX2-FX5
AMD EXPOに対応したDDR5メモリ。
メモリタイミング:CL36、クロック周波数:3000MHz = 約12ns(レイテンシ)
メモリ容量(1枚あたり) | 16GB | 枚数 | 2枚 |
メモリインターフェイス | DIMM | メモリ規格 | DDR5 SDRAM |
データ転送速度 | SPD Speed:4800MT/s Tested Speed:6000MT/s |
モジュール規格 | PC5-38400(DDR5-4800) PC5-48000(DDR5-6000) |
電圧 | SPD Voltage:1.1V Tested Voltage:1.35V |
メモリタイミング | Tested Latency:36-36-36-96 |
メモリ機能 | ECC非対応 Reg非対応 |
XMP 2.0 | |
ヒートシンク機能 | Mac対応 | ||
1GBあたりの価格 | \562 |
キングストン KF560C36BBEAK2-32
メモリタイミング:CL36、クロック周波数:3000MHz = 約12ns(レイテンシ)
メモリ容量(1枚あたり) | 16GB | 枚数 | 2枚 |
メモリインターフェイス | DIMM | メモリ規格 | DDR5 SDRAM |
データ転送速度 | Default:4800MT/s XMP:6000MT/s |
モジュール規格 | PC5-38400(DDR5-4800) PC5-48000(DDR5-6000) |
電圧 | Default:1.1V XMP Profile:1.35V |
メモリタイミング | Default:CL40-39-39 XMP:CL36-38-38 |
メモリ機能 | ECC非対応 Reg非対応 |
XMP 2.0 | |
ヒートシンク機能 | ○ | Mac対応 | |
1GBあたりの価格 | \806 |
CORSAIR CMH32GX5M2B6000C40W
メモリタイミング:CL40、クロック周波数:3000MHz = 約13.33ns(レイテンシ)
メモリ容量(1枚あたり) | 16GB | 枚数 | 2枚 |
メモリインターフェイス | DIMM | メモリ規格 | DDR5 SDRAM |
データ転送速度 | SPD Speed:4800MHz Tested Speed:6000MHz |
モジュール規格 | PC5-38400(DDR5-4800) PC5-48000(DDR5-6000) |
電圧 | SPD Voltage:1.1V Tested Voltage:1.35V |
メモリタイミング | SPD Latency:40-40-40-77 Tested Latency:40-40-40-77 |
メモリ機能 | XMP 2.0 | ||
ヒートシンク機能 | ○ | Mac対応 | |
1GBあたりの価格 | \624 |
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